格安SIMでデュアルSIMを使うには、デュアルSIM対応のスマートフォンに2回線を登録し、通話用・データ通信(インターネット接続)用などの役割を設定します。格安SIMを2枚使う方法のほか、スマートフォンのSIMカードとeSIMを組み合わせる方法もあります。
ただし、スマートフォンがデュアルSIMに対応していること、使いたい格安SIMの組み合わせが端末に対応していることが必要です。端末によって、2回線を同時に待ち受けできるか、5G通信やデータ通信の切り替えに対応しているかも異なります。
格安SIMのデュアルSIMとは
デュアルSIMとは、1台のスマートフォンで2つのSIM回線を使う機能です。たとえば、1回線を通話用、もう1回線をデータ通信用に分けられます。
SIMの組み合わせには、主に次の種類があります。
- SIMカードを2枚入れる
- SIMカードとeSIMを1回線ずつ使う
- eSIMを2回線登録する
対応する組み合わせは端末によって異なります。SIMカードを2枚使えると思って契約しても、実際には「SIMカード1枚+eSIM」のみ対応という場合があるため、契約前に端末の仕様を確認してください。
デュアルSIMを使う主な方法
格安SIMのデュアルSIMは、回線ごとに役割を分けると使いやすくなります。代表的な使い方は次の3つです。
| 使い方 | 設定例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 通話とデータ通信を分ける | 回線Aを通話、回線Bをデータ通信 | 通話料金を抑えながら、データ容量も確保したい人 |
| 通信障害に備える | 異なる通信網の回線を2つ使う | 1回線がつながりにくい場所で別回線を使いたい人 |
| 仕事用と個人用を分ける | 仕事用番号と個人用番号を別回線にする | 2つの電話番号を1台で管理したい人 |
2回線を使う場合でも、データ通信に使う回線は通常1つです。もう一方の回線は、電話の待ち受けやSMSの受信などに使う形になります。
デュアルSIMを使うために必要な条件
契約前に、スマートフォン、SIM、通信エリアの3点を確認します。
スマートフォンがデュアルSIMに対応している
端末の製品仕様で、SIMの対応状況を確認します。「デュアルSIM」「DSDS」「DSDV」「eSIM対応」などの記載が目印です。
DSDSは、2回線で待ち受けできるものの、通信方式などに制限がある方式です。DSDVは、2回線で4Gによる待ち受けに対応する方式を指します。名称だけで判断せず、使いたいSIMカードとeSIMの組み合わせが対応しているかを確認してください。
SIMロックが解除されている、または利用回線に対応している
以前に購入したスマートフォンでは、特定の通信会社のSIMだけ使えるSIMロックが設定されている場合があります。利用したい格安SIMが使える端末か、SIMロックの状態と対応周波数帯を確認します。
対応周波数帯が合わないと、契約した回線の電波を十分に受信できないことがあります。特に、別の通信会社で購入した端末を使う場合は注意が必要です。
格安SIM側が端末やeSIMに対応している
格安SIMによって、音声通話SIM、データ通信専用SIM、eSIMの提供状況が異なります。eSIMを使う場合は、端末がeSIMに対応しているだけでなく、契約するサービスがその端末で利用できることも確認してください。
格安SIMでデュアルSIMを設定する手順
画面の名称や順番は端末によって異なりますが、基本的な設定は次の流れです。
- スマートフォンがデュアルSIMと、使いたいSIMの組み合わせに対応しているか確認する。
- 2回線のSIMを契約する。SIMカードを使う場合は台紙から取り外し、eSIMを使う場合は開通用のQRコードやアプリを準備する。
- スマートフォンの電源を切り、SIMカードを所定のスロットに入れる。eSIMの場合は、端末の「モバイル通信」や「ネットワーク」などの設定から追加する。
- 必要に応じてAPNを設定する。APNは、格安SIMの回線を使ってインターネット通信するための接続先情報です。
- 設定画面で2回線に分かりやすい名前を付ける。たとえば「通話用」「データ用」「仕事用」などにします。
- モバイルデータ通信に使う回線を選ぶ。
- 音声通話の発信回線、SMSの送信回線、連絡先ごとの優先回線を設定する。
- Wi-Fiを切った状態で、ウェブサイトの表示、電話の発着信、SMSの送受信を確認する。
APNの入力項目は、格安SIMごとに異なります。入力内容が分からない場合は、契約した格安SIMが案内する設定情報を使い、別のサービスのAPNを流用しないでください。
iPhoneでデュアルSIMを使う設定
iPhoneでは、対応機種でSIMカードとeSIM、またはeSIMの組み合わせを使えます。具体的な対応状況は機種や販売地域によって異なるため、端末の仕様を確認してください。
基本的には、「設定」からモバイル通信の項目を開き、2つ目の回線を追加します。その後、回線ごとにラベルを付け、デフォルト音声回線とモバイルデータ通信に使う回線を選びます。
iPhoneで確認する主な設定項目は次のとおりです。
- デフォルト音声回線:電話をかけるときに基本的に使う回線
- モバイルデータ通信:インターネット接続に使う回線
- モバイルデータ通信の切り替えを許可:通話中などに別回線のデータ通信へ切り替える設定
- 回線のオン・オフ:特定の回線を一時的に使わない設定
設定後は、モバイルデータ通信の回線を意図した格安SIMに指定できているか確認します。設定を誤ると、想定していない回線のデータ容量を消費する可能性があります。
AndroidでデュアルSIMを使う設定
Androidスマートフォンでは、機種によって設定項目の名称が異なります。「SIM」「モバイルネットワーク」「ネットワークとインターネット」などの項目から、2回線を登録します。
一般的には、SIMごとに通話、SMS、モバイルデータ通信の優先回線を指定します。SIMカードとeSIMを使う場合は、eSIMを追加した後に、データ通信で使う回線を選択してください。
Androidではメーカーや機種によって、次のような違いがあります。
- SIMカードを2枚入れられるか
- eSIMを登録できるか
- 2回線を同時に待ち受けできるか
- 通話中にもう一方の回線でデータ通信できるか
- 5G通信を利用できる回線の組み合わせ
同じAndroidのバージョンでも端末ごとに動作が違うため、端末の取扱説明書やメーカーの仕様も確認してください。
通話用とデータ通信用を分けるときの設定例
たとえば、回線Aを電話番号の維持や通話に使い、回線Bをインターネット通信に使う場合は、回線Aを音声通話の優先回線、回線Bをモバイルデータ通信の優先回線に設定します。
この設定では、電話をかけるときに回線A、動画やウェブサイトを見るときに回線Bを使う形になります。ただし、アプリや連絡先の設定によっては、発信時に毎回回線を選ぶ必要があります。
電話番号を2つ使う場合は、着信時にどちらの番号にかかってきたか分かるよう、SIMのラベルを「仕事」「個人」などに設定しておくと管理しやすくなります。
デュアルSIMを使うときの注意点
2回線の料金が必要になる
デュアルSIMは、1台の端末で2回線を使う方法です。2回線を契約すれば、それぞれの月額料金、通話料、オプション料金などが発生します。
安くする目的で利用する場合は、2回線の月額料金だけでなく、通話料、SMS送信料、初期費用、使わない期間の料金も含めて比較してください。
データ通信の回線を間違えやすい
データ容量が少ない回線をモバイルデータ通信の優先回線にすると、意図せず容量を消費することがあります。設定後は、通信に使う回線名と、各回線のデータ残量を確認してください。
2回線が同時に通信できるとは限らない
デュアルSIM対応でも、2回線で同時にデータ通信できるとは限りません。多くの端末では、モバイルデータ通信に使う回線を基本的に1つ選びます。
また、片方の回線で通話中に、もう片方の回線でインターネット通信できるかどうかも端末によって異なります。
通信障害への備えとしては通信網の確認が必要
通信障害やエリア外への備えとして2回線を使う場合は、同じ通信網を使う格安SIMだけでなく、異なる通信網の回線を組み合わせる方法があります。ただし、利用地域や端末の対応周波数帯によって、実際のつながりやすさは変わります。
2回線を契約すれば必ず通信障害を回避できるわけではありません。自宅、職場、通勤経路など、実際に使う場所で両方の回線が利用できるかを確認することが大切です。
機種変更や初期化でeSIMの再発行が必要になることがある
eSIMは、端末の変更や初期化の際に、再発行や再設定が必要になる場合があります。再発行の方法や手数料、受付時間はサービスによって異なるため、契約前に確認してください。
デュアルSIMが向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない可能性がある人 |
|---|---|
| 通話用とデータ通信用を分けたい人 | 1回線で必要な通話・通信をまかなえる人 |
| 仕事用と個人用の電話番号を分けたい人 | 設定や回線の管理を増やしたくない人 |
| 異なる通信網を予備として持ちたい人 | 2回線分の月額料金を負担したくない人 |
| eSIMやAPNの設定を自分でできる人 | 端末設定を自分で変更するのが難しい人 |
設定できないときの確認順
2回線が使えない場合は、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。
- 端末がデュアルSIMに対応しているか確認する。
- SIMカードとeSIMの組み合わせが端末に対応しているか確認する。
- 2回線が端末に登録され、回線がオンになっているか確認する。
- SIMロック、対応周波数帯、利用開始手続きの完了状況を確認する。
- モバイルデータ通信に使う回線が正しく選ばれているか確認する。
- APNの入力内容を格安SIMの案内と照らし合わせる。
- 端末を再起動し、Wi-Fiを切って通信を試す。
片方の回線だけ使えない場合は、2回線のうちどちらに問題があるかを確認します。SIMカードを別の対応端末で試す方法もありますが、端末やSIMを壊さないよう、無理に抜き差ししないでください。
格安SIMのデュアルSIMは端末と役割を先に確認する
格安SIMでデュアルSIMを使う基本は、対応端末に2回線を登録し、通話・SMS・データ通信の優先回線を設定することです。
最初に、端末がSIMカード2枚、SIMカードとeSIM、またはeSIM2回線のどの組み合わせに対応しているかを確認してください。そのうえで、2回線の利用料金、通信エリア、APN設定、データ通信の優先回線を確認すると、契約後のトラブルを減らせます。







