格安SIMでも、災害時につながる可能性はあります。ただし、災害の規模や地域の設備状況、回線の混雑、停電、利用する端末によって、音声通話・SMS・データ通信のつながりやすさは変わります。格安SIMだから一律につながらない、または大手通信会社と常に同じ品質になる、とも言い切れません。
格安SIMが災害時につながる仕組み
格安SIMの多くは、NTTドコモ、au、ソフトバンクなどの大手通信会社の回線を借りて通信サービスを提供しています。そのため、契約している格安SIMが利用する回線の基地局や通信設備が稼働していれば、通常はその回線のエリア内で通信できます。
一方で、格安SIMの会社が大手通信会社と同じ設備を使っていても、サービスの提供条件や混雑時の制御まで同一とは限りません。特に、通信が集中したときは、データ通信の速度が大きく低下する可能性があります。
災害時に「つながるか」を左右する主な条件
実際の通信状況は、格安SIMかどうかだけでなく、次の条件の組み合わせで決まります。
- 契約している格安SIMが利用する回線
- 被災地域の基地局や通信設備の被害状況
- 停電や基地局のバッテリー残量
- 安否確認や通話による通信の集中
- 端末の対応周波数、SIMロック、設定状況
- 契約料金の未払いなどによる利用停止の有無
- 端末やモバイルバッテリーの充電残量
したがって、平常時に自宅や職場でつながっていても、災害時の通信を保証するものではありません。反対に、データ通信が混雑していても、SMSや音声通話は利用できる場合があります。
音声通話・SMS・データ通信で状況は違う
災害時は、通信の種類によってつながりやすさや使い道が異なります。連絡手段を一つに頼らず、複数の方法を用意しておくことが重要です。
| 通信方法 | 災害時の特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 音声通話 | 相手と直接話せるが、利用が集中すると発信しにくくなることがある | 長時間の通話は避け、必要な要件を短く伝える |
| SMS | 短い文字メッセージを送れる。データ通信が不要な方式もある | 送受信に時間がかかる、または遅延する場合がある |
| データ通信 | メッセージアプリ、ウェブサイト、災害情報の確認に使える | 混雑時は速度低下や接続困難が起きることがある |
| Wi-Fi | 利用できるWi-Fi環境があれば、携帯回線の混雑を避けられる場合がある | 接続先の安全性や、利用できる場所・時間に注意する |
家族や知人との安否確認では、何度も電話をかけ続けるより、短いSMSやメッセージを一度送り、返信を待つほうが通信の集中を抑えやすい場合があります。
格安SIMは災害時に大手キャリアより不利なのか
格安SIMが災害時に必ず大手キャリアより不利になるとはいえません。契約している回線の基地局が使えるかどうかは、格安SIMの会社名だけでなく、利用回線や被災地域の設備状況に左右されます。
ただし、MVNOと呼ばれる格安SIMでは、混雑時の通信品質が大手通信会社の直接契約と異なる場合があります。これは平常時にも起こり得る違いで、災害によって利用者が急増したときには、データ通信の速度低下として感じやすくなる可能性があります。
また、「格安SIM」の中には、大手通信会社のオンライン専用プランやサブブランドのように、提供主体や通信方式がMVNOとは異なるサービスもあります。比較するときは、料金だけでなく、どの会社の回線を使うサービスなのかを確認してください。
災害時に使える主な通信手段
災害用伝言板・災害用伝言ダイヤル
大きな災害が起きたときは、携帯電話会社や通信事業者などが安否確認用のサービスを提供することがあります。災害用伝言板はウェブ上で安否を登録・確認する仕組み、災害用伝言ダイヤルは音声で安否を録音・再生する仕組みです。
提供の有無、利用方法、利用できる時間や対象となる災害は、その時点の案内に従ってください。家族で利用するサービスを平常時に決め、登録方法を一度試しておくと、緊急時に迷いにくくなります。
無料開放されるWi-Fi
大規模災害時には、避難所や公共施設などで、携帯電話会社が無料のWi-Fiを開放することがあります。代表的な災害時用の無料Wi-Fiでは、携帯電話会社の契約に関係なく接続できる場合があります。
ただし、開放の有無や利用できる場所は災害ごとに異なります。接続時には、重要な個人情報の入力やネットバンキングの利用を避け、利用後はWi-Fi設定を確認してください。
ラジオや自治体の情報
携帯電話の通信ができない場合に備えて、乾電池式または手回し式のラジオを用意する方法もあります。自治体の防災無線、避難所の掲示、周囲の案内など、インターネット以外の情報源も確認できるようにしておきましょう。
災害時に格安SIMを使うための準備
災害が起きてから設定を確認するのではなく、平常時に端末と契約の状態を確認しておくことが大切です。
- 自分の格安SIMが利用する回線を確認する。契約者向けページや契約書類で、NTTドコモ回線、au回線、ソフトバンク回線などの区分を確認します。
- 端末がその回線に対応しているか確認する。対応周波数、SIMロックの状態、音声通話やデータ通信の設定を確認します。
- 音声通話とSMSを実際に試す。家族などに短い電話やSMSを送り、利用できる状態か確認します。
- 端末の充電方法を用意する。モバイルバッテリーを充電しておき、ケーブルが端末に合っているかも確認します。
- 安否確認の方法を家族と決める。電話、SMS、メッセージアプリ、災害用伝言サービスのどれを使うか、連絡が取れない場合の集合場所も決めておきます。
- 重要な情報を端末以外にも控える。家族の電話番号、住所、避難先、契約している通信会社の問い合わせ先などを紙にも記録します。
デュアルSIM対応の端末を使っていても、二つのSIMが異なる通信設備を利用できるとは限りません。両方のSIMが同じ回線や同じ地域の設備に依存している場合は、一方が使えなくなったときにもう一方も影響を受ける可能性があります。
災害時に通信できないときの対処
通信できない場合は、まず端末の故障と通信網の混雑を切り分けます。次の順番で確認してください。
- 端末の機内モードを一度オンにしてからオフにし、再接続を試す。
- 端末の電波表示、SIMの認識、モバイルデータ通信の設定を確認する。
- 同じ場所にいる別の人の端末でも通信できるか確認する。
- 電話が混雑している場合は、短いSMSやメッセージアプリなど別の手段を試す。
- 避難所や公共施設で利用できるWi-Fi、防災無線、ラジオなどを確認する。
- 緊急性が高い場合は、通信が回復するまで待つだけでなく、周囲の人や施設の職員に助けを求める。
110番や119番などの緊急通報は、通常の連絡と扱いが異なります。緊急時は、利用している端末で発信できるかを試し、つながらない場合は周囲の人、近くの警察・消防関係者、避難所の職員などにも助けを求めてください。
格安SIMを災害への備えで選ぶときの確認点
災害時の通信を重視するなら、月額料金だけでなく、次の項目を契約前に確認してください。
- 自宅、職場、通勤・通学先で利用する回線のエリア
- 音声通話とSMSが使える料金プランか
- 端末が利用回線の周波数や通話方式に対応しているか
- データ通信量を使い切った後の通信速度
- 災害用伝言サービスや災害時の通信案内の確認方法
- 問い合わせ窓口や契約者向けページへのアクセス方法
特定の格安SIMを選べば、災害時も必ずつながるという保証はありません。現実的には、利用場所に合う回線を選び、音声通話・SMS・データ通信・Wi-Fi・ラジオなどの複数の手段を準備することが重要です。
格安SIMは災害時につながるのか:結論
格安SIMは、災害時でも回線の設備が稼働していれば利用できる可能性があります。しかし、基地局の被害、停電、通信の集中、データ通信の混雑によって、音声通話やインターネットが使いにくくなることがあります。
判断するときは「格安SIMかどうか」だけでなく、利用回線、端末の対応状況、連絡手段の数を確認してください。契約している回線と端末を平常時に確認し、家族との安否確認方法、充電手段、携帯電話以外の情報源を準備しておくことが、災害時の通信に備える第一歩です。







